日本臨床外科学会雑誌
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症例
ICGで血流評価し一期的に腹腔鏡下に修復した外鼠径ヘルニア偽還納の1例
伏見 卓郎小林 照貴國府 島健甲斐 恭平
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2024 年 85 巻 9 号 p. 1305-1308

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抄録

症例は81歳,女性.数年前から左鼠径ヘルニアの脱出を自覚し,自己整復を繰り返していた.他科疾患で入院中に左鼠径部膨隆を認め,左鼠径ヘルニア嵌頓の診断で徒手整復を行ったが整復後も腸閉塞症状が持続したため,鼠径部超音波検査を行ったところヘルニア嵌頓の所見があり,ヘルニア偽還納の診断で手術を行った.術中所見では小腸がRichter型にヘルニア囊に嵌頓し,腹膜前腔に陥入していた.鉗子による牽引では整復されず,腹膜を切開し嵌頓を解除した.ICGで血流を確認し腸管切除不要と判断し,メッシュを用いたTAPP法での腹腔鏡下ヘルニア修復術を行った.ヘルニア偽還納は脱出臓器がヘルニア囊に嵌頓したままの状態で腹膜前腔に還納される稀な病態である.前方到達法では視野の確保に難渋するため,腹腔鏡手術は有用である.

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