日本臨床外科学会雑誌
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症例
複数回の消化器悪性腫瘍手術を行った血友病Aの1例
高橋 立成杭瀬 崇柳原 飛翔三又 雄大山野 寿久
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2024 年 85 巻 9 号 p. 1316-1321

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抄録

血友病Aは血液凝固第VIII因子の先天性欠乏により出血傾向を示す伴性潜性遺伝疾患である.血友病A患者に遭遇する機会は少なく,複数回手術の報告はほとんど認めていない.今回われわれは,血友病Aを有する患者に対して短期間に計3回の消化器外科手術を経験したので,周術期管理を中心に若干の文献的考察を含めて報告する.

症例は79歳,男性.血友病A(凝固因子活性トラフ値:7~9%;軽症)に対して当院血液内科通院中であった.2021年8月に胃癌に対し腹腔鏡下噴門側胃切除術,2022年1月に上行結腸癌に対し腹腔鏡下回盲部切除術,2022年8月に転移性肝癌(大腸癌)に対し腹腔鏡下肝部分切除術を施行した.ガイドラインに基づき周術期は第VIII因子製剤の補充を行い,いずれも術後合併症なく退院した.3回の手術を通して凝固因子の反復輸注に伴う同種抗体の発生は認めなかった.適正な第VIII因子製剤の補充により健常人と同等な手術を安全に施行できると考えられた.

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