2024 年 85 巻 9 号 p. 1322-1326
症例は16歳,男性.山でヘビを捕まえた際に右手背に咬傷を負った.創部の腫脹は増悪し,止血が得られないため受傷2時間後に当院を受診した.来院時は2箇所の牙痕から出血を認め,圧迫を行っても止血は困難であった.血液検査で著明な線溶系の亢進を認めたが,血小板数の低下は認めなかった.播種性血管内凝固症候群(DIC)をきたしていたため,入院加療の方針とした.トロンボモジュリン製剤を投与したが,受傷翌日の血液検査でDICは増悪した.著明な線溶亢進を伴うDICであることから,ヤマカガシ咬傷と診断した.対症療法では不充分であると考え,臨床研究に参加し抗毒素血清を使用した.抗毒素血清投与後直ちに,創部の止血を得た.抗毒素血清投与翌日には凝固系も改善傾向を認め,投与後3日でDICを離脱,投与後5日で退院となった.急速に進行する重症DICをきたしたヤマカガシ咬傷は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.