日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
術前の鑑別が困難であった交通外傷後脾症の1例
近藤 芳彦山形 誠一井上 博介髙野 道俊小山 洋伸東 久登
著者情報
キーワード: 脾症, splenosis, 術前診断
ジャーナル フリー

2025 年 86 巻 1 号 p. 104-109

詳細
抄録

症例は71歳の男性.18歳時に交通外傷による脾損傷,左腎損傷で脾摘術および左腎摘出術を受けた.2023年3月にかかりつけ医より検診で尿蛋白を指摘され,精査目的に紹介.腎機能は問題なく尿蛋白について経過観察となった.その際に行ったCTで,肝左葉の外側腹側面に発育する50mm大の腫瘤性病変を認め,当科に紹介となった.画像所見から肝細胞癌が疑われ,2023年5月に肝外側区域切除術を施行した.術中所見では横隔膜面から肝外側区域に嵌入し,一部肝実質に連続する5cm大の腫瘤性病変を認めた.病理組織検査で病変は脾臓様構造物であることが判明した.外傷による脾摘術の既往があることから,脾症(splenosis)と診断した.脾症は外傷や脾摘時に脾組織が腹腔内に散布され,自家移植によって起こるとされている.今回,術前診断が困難だった外傷後53年後に発見された脾症の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2025 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top