2025 年 86 巻 1 号 p. 64-71
患者は69歳,女性.10年以上前から全大腸に多発過形成性ポリープがあり,経過中に横行結腸癌の手術も受けていた.通院中断の3年間で血便を自覚し,下部消化管内視鏡検査で横行結腸髄様癌と診断,腹腔鏡下に結腸部分切除術(横行結腸)を施行.術後11日目に退院となった.
大腸髄様癌は比較的新しく分類された組織型で,かつては大腸低分化癌とされていた.1997年に腫瘍サイズが大きく,腫瘍周囲のリンパ球浸潤とmicrosatellite instability high(MSI-H)を示すものがmedullary typeと報告され,その後2000年にWHO分類第3版で髄様癌と記載された.右側結腸に好発し,比較的予後が良好な腫瘍である.また,serrated polyposis syndrome(SPS)も比較的新しい概念で,sessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)からの発癌が注目されている.今回,横行結腸癌術後の4年目定期検査から3年後に進行横行結腸髄様癌と診断された1切除例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.