2025 年 86 巻 1 号 p. 72-76
症例は93歳の女性で,直腸脱の既往があった.肛門から腸管が脱出している状況を家族が発見し,救急要請した.来院時に肛門からの小腸脱出を認め,腹部CTで直腸Ra穿孔部からの小腸脱出が疑われた.緊急手術を行い脱出した小腸を腹腔内に還納し,穿孔部を含めたHartmann手術を施行した.術後経過は良好で,第32病日に独歩で退院した.経肛門的小腸脱出を伴う直腸穿孔は非常に稀な病態であるが,小腸脱出を伴わない大腸穿孔と比較して,予後は良好であるとされている.理由としては,穿孔部に小腸が嵌入することで腸管内容物の腹腔内への漏出を最小限にすること,また特異な病態が早期に認識されて緊急手術が迅速に行われることが考えられている.今回われわれは,経肛門的小腸脱出を伴う直腸穿孔に対して緊急手術を行い,救命することができた1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.