2025 年 86 巻 1 号 p. 90-96
症例は60歳,男性.初診時,総胆管結石症に対して内視鏡的乳頭切開術および総胆管結石除去術を施行し,その1年2カ月後に突然の水様下痢と血便を主訴に当院を受診した.腹部CTと下部消化管内視鏡検査で胆囊結腸瘻と消化管出血が疑われたが,活動性の出血は認められず自然止血後と考えられた.入院後,術前検査を進めていたところ再び大量血便があり,ショック状態となった.腹部CT撮影で胆囊内に造影剤の血管外漏出を認め,胆囊出血を伴う胆囊結腸瘻と診断した.急速輸液と赤血球輸血で一時的にショック状態から回復し,緊急開腹手術を施行した.胆囊と横行結腸との間に瘻孔を認め,横行結腸部分切除と胆囊摘出術を施行した.術後は合併症なく経過し,術後12日目に退院した.胆囊結石症に胆囊結腸瘻と胆囊出血が同時に合併することは極めて稀と思われるが,迅速な診断と治療を要する救急疾患として念頭に置くべき病態と考えられた.