日本臨床外科学会雑誌
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症例
経時的な形態変化を観察し腹腔鏡下に切除した肝粘液性囊胞性腫瘍の1例
多賀 亮伊藤 達雄北口 和彦竹島 潤鷲見 季彦廣瀬 哲朗
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2025 年 86 巻 1 号 p. 84-89

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抄録

症例は42歳,女性.健康診断の腹部超音波検査で肝内側区域に23×12mm大の低エコー腫瘤を指摘された.硬化性血管腫として経過観察されていたが,30カ月後に27×18mmに増大し,結節の背側に隔壁を伴う囊胞成分が出現した.肝粘液性囊胞性腫瘍(mucinous cystic neoplasm of liver:肝MCN)を疑い,腹腔鏡下肝部分切除術を行った.病理組織検査では囊胞壁を一層の円柱上皮が被覆し,上皮下に紡錘形細胞を混じた卵巣間質様形質が認められた.EgR,PgRともに陽性で肝MCNと診断した.肝MCNは2010年のWHO分類において膵MCNのcounterpartとして定義された,まれな疾患である.自験例では経過観察中に形態変化を示し肝MCNと診断したが,これまでに経時的形態変化についての報告は少なく,その自然史は明らかではない.典型的な単純性肝囊胞以外の囊胞は形態変化を呈する可能性も考慮して経過観察を行うことが必要である.

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