日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
臨床経験
乳癌患者における上腕ポートの有用性と合併症
岩本 奈織子有賀 智之
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 86 巻 10 号 p. 1292-1296

詳細
抄録

上腕ポートは,内頸や鎖骨下静脈などを穿刺するCVポートと比較して致死的な合併症の報告が少ないものの,普及は進んでいない.

今回,われわれは乳癌患者における上腕ポートの安全性について検討した.2014年1月から2024年6月に当科で上腕ポート造設術を施行した乳癌症例107例108件を対象とした.そのうち,同時両側乳癌は7例であった.ポート造設術は,全例手術室で超音波検査と透視検査を併用し行った.患者の年齢中央値は53歳,6割が周術期化学療法投与目的であった.上腕ポート造設後の観察期間中央値は16.6カ月.感染6例(5.4%),閉塞3例,露出2例,血栓・カテーテル破損・ポート反転を各1例ずつ認めた.上腕浮腫は2例(1.8%)に認めたが,いずれも軽快した.

上腕ポートは重大な合併症がなくかつ上腕浮腫の頻度も低かった.乳癌症例においても,上腕ポートは有用なデバイスと考えられた.

著者関連情報
© 2025 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top