2025 年 86 巻 10 号 p. 1333-1337
症例は76歳の女性で,右下腹部痛を主訴に前医に救急搬送された.腹部造影CTでは特記すべき異常を認めなかったが,検査所見では炎症反応は高値であったため,抗菌薬による保存的加療が行われていた.第3病日に右下腹部痛が増悪したため,腹部造影CTを施行したところ,著明な腸管拡張像を認め腸閉塞の診断となった.精査加療目的で当院に転院となり,イレウス管による腸管減圧を行った.その後も症状の改善はなく,炎症所見も増悪したため第6病日に腹部造影CTを施行したところ,圧痛部直下の腸管に造影不良域を認めた.回腸壊死の診断で緊急手術を行ったところ,回腸末端から20cm~40cmの部位にわたり,約20cmの小腸に壊死所見を認め,腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.病理組織学的所見よりsegmental arterial mediolysis(以下,SAM)による回腸動脈解離の診断となった.SAMによる回腸動脈解離は稀であるため,若干の文献的考察を加えて報告する.