日本臨床外科学会雑誌
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症例
TAPPの術中に偶発的に大網に見つかった消化管外アニサキス症の1例
穐山 竣吉田 真也溝上 優美谷岡 葵藤本 貴士細木 久裕
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2025 年 86 巻 10 号 p. 1390-1394

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抄録

症例は特記既往のない75歳の女性で,左鼠径部膨隆を主訴に当院を受診した.立位で鶏卵大の膨隆を認め,CTで左外鼠径ヘルニアの診断となり,待機的に腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP法)を行った.術中所見で左下腹部に大網腫瘤を認め腹壁に癒着していたが,その他腹腔内に腫瘤など病変は認めなかった.TAPP法を施行後,大網部分切除術を施行した.病理組織学検査では24mm大の赤褐色調結節で,好酸球主体の炎症細胞浸潤巣の中心部にアニサキス虫体を認めた.悪性所見は認めなかった.

アニサキス症の多くは胃あるいは腸アニサキス症として発症するが,稀に腸管壁外まで虫体が穿通した消化管外アニサキス症をきたす.発症様式により緩和型と劇症型アニサキス症に分けられる.再感作により劇症型をきたすと考えられるため注意を要する.また,自験例の疾患頻度は低いが診断的切除が有用と考えられた.

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