2025 年 86 巻 11 号 p. 1471-1474
トシリズマブはヒト化抗IL-6受容体モノクローナル抗体であり,IL-6受容体への結合阻害により免疫・炎症反応抑制効果をもたらす.今回,トシリズマブ投与中に発症した壊疽性胆囊炎の1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.患者は64歳,男性.TAFRO症候群で当院リウマチ・膠原病内科に通院中.定期外来時に右季肋部痛を訴え,画像精査にて急性胆囊炎の診断となり当科に紹介.初診時,バイタルサインに異常は認めず,血液検査での炎症反応は正常範囲内であった.腹部単純CTで胆囊腫大と壁肥厚を認めた.急性胆囊炎の診断として,同日緊急腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.術中所見では胆囊壁は壊疽性変化をきたしており,病理所見でも壊疽性胆囊炎の診断であった.トシリズマブ投与中は炎症所見がマスクされていることを念頭に,早期の治療介入を行うべきと考えられた.