日本臨床外科学会雑誌
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症例
TEP法にて修復した鼠径ヘルニア偽還納の1例
川野 雄一郎江口 英利石川 浩一
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2025 年 86 巻 12 号 p. 1664-1668

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抄録

症例は65歳,男性.右鼠径部膨隆および疼痛にて受診.腹部CTにて右鼠径ヘルニア嵌頓と診断し,用手整復を施行した.入院後,腸閉塞の状態が持続したためCT再検.右鼠径部の腹壁内に嵌頓したまま移動した腸管を認め鼠径ヘルニア偽還納と診断し,緊急手術の方針とした.腹腔鏡下に観察すると右鼠径部で回腸が肥厚した腹膜に嵌頓していた.嵌頓を解除後,腹膜前腔操作を行いtotally extraperitoneal repair (TEP)法にてヘルニア修復術を施行した.ヘルニア偽還納は脱出臓器が嵌頓した状態でヘルニア囊とともに腹膜前腔に戻る状態であり,用手整復後の注意すべき病態である.腹腔鏡手術は偽還納の詳細な観察と診断が可能である.特に,TEP法は腹膜前腔操作でヘルニア修復を行うことで腸閉塞時の腸管拡張の影響を受けにくく,本症の治療に有用な術式である.

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