日本臨床外科学会雑誌
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症例
TEP法を行った大腿型の鼠径部sacless herniaの1例
兼松 理彦渡邉 卓哉野本 崚二朗鈴木 寛猪川 祥邦梶川 真樹
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2025 年 86 巻 12 号 p. 1669-1672

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抄録

症例は21歳,男性.右鼠径部に疼痛があった.腹部造影CTで右大腿輪から脂肪の脱出があり,大腿ヘルニア・腹膜前脂肪の脱出が疑われた.審査腹腔鏡で大腿ヘルニアは認めず,totally extraperitoneal repair(TEP)による腹膜前腔からの観察で腹膜前脂肪が大腿輪に嵌頓していた.嵌頓を解除し,メッシュを留置した.術後速やかに疼痛は消失した.腹膜囊を欠いており,sacless herniaと考えられた.大腿輪のsacless herniaは自験例を含め7例報告があった.大腿ヘルニアと類似した症状で,年齢が70歳以下であるか,腹部CTや腹部超音波検査で大腿輪に脂肪の脱出があれば,sacless herniaの可能性を考える必要がある.診断は審査腹腔鏡が望ましい.審査腹腔鏡が行われた5例はそれぞれ所見が異なっていた.大腿ヘルニアがなければ腹膜前腔の探索を行うべきであると考えられた.

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