日本臨床外科学会雑誌
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症例
W-EDチューブで治療した食道胃接合部癌術後の縫合不全の1例
澤邊 敦哉日景 允小坂 航小坂 淳生山田 誠人郷右近 祐司
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2025 年 86 巻 2 号 p. 251-256

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抄録

症例は72歳,男性.Siewert type 3の食道胃接合部癌cStage IIIに対し,開腹胃全摘・経裂孔下部食道切除・結腸前Roux-en-Y再建を施行した.術後に腸管麻痺による誤嚥から重症肺炎をきたし,呼吸循環不全に至ったため第2病日より人工呼吸器管理を開始したが,循環呼吸が安定せず炎症反応が遷延し栄養管理にも難渋した.第15病日のCT,第21病日の内視鏡で食道空腸吻合部の縫合不全が明らかとなった.保存治療継続の方針とし,第23病日に治療促進のためW-EDチューブ(double elementary diet tube)を留置し,消化管減圧に加えて経腸栄養を開始した.その後,炎症反応は急速に改善し,第28病日に人工呼吸器を離脱,第50病日に内視鏡にて縫合不全部の治癒が確認され,第88病日に自宅退院した.食道胃接合部癌は胃癌と比較し,手術後の食道空腸吻合の縫合不全発生リスクが高く,重篤化の危険もある.消化管外の膿瘍腔のドレナージが可能な状況では,消化管減圧と経腸栄養の管理を1つのデバイスで同時施行可能なW-EDチューブによる管理は,有用な治療法である.

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