2025 年 86 巻 3 号 p. 361-366
緒言:近年,自然気胸に対する術後再発予防目的に,酸化セルロース(oxidized regenerated cellulose:ORC)シートやポリグリコール酸(polyglycolic acid:PGA)シートを用いた肺囊胞切除断端被覆がなされている.ORCシートには癒着をきたしにくい特徴があり,当院では若年者症例に対して積極的に用いていた.ORCシートによる術後再発予防効果について,自験例を基に報告する.対象と方法:2011年~2022年の過去12年間に当センターにて経験した25歳以下の自然気胸に対する初回手術症例263例の内,肺囊胞部分切除後の断端をORCシート単独で被覆補強した216例における術後再発率に関して,後方視的に検討した.結果:対象症例216例の内,40例(18.5%)で術後再発を認めた.患者の年代別に術後再発率をみると10代が30/123例(24.4%),20代は10/93例(10.8%)であった.結語:ORCシートによる断端被覆は,一定の割合で術後再発を認めるため,推奨し難く,適応外使用の厳格化に伴い気胸再発予防目的の使用を見直す時期と考えられた.