2025 年 86 巻 3 号 p. 387-392
症例は49歳,女性.右乳房腫瘤を主訴に当院を受診し,針生検で悪性所見が認められなかったため,経過観察となった.初診から8年後,腫瘍が急速に増大したため腫瘍切除術を行ったところ,病理診断で乳腺悪性葉状腫瘍と判明した.追加切除を行ったが断端は陽性だった.さらなる追加切除は患者が拒否したため,3カ月毎に画像検査を実施した.腫瘍切除から2年経過後,腹部CTで膵体尾部に腫瘤性病変が認められ,EUS-FNAにより乳腺悪性葉状腫瘍の膵転移と診断した.左副腎への浸潤および腫瘍周囲リンパ節の腫大が見られたものの,遠隔転移は認めず切除可能と判断し,根治切除術を施行した.膵体尾部切除から2年9カ月が経過しているが,再発は認められていない.遠隔転移を伴う乳腺悪性葉状腫瘍は進行が急速で,確立された有効な治療法がないため予後は極めて不良である.しかし,自験例のように外科的切除が可能であれば,長期的な予後が期待できることが示唆された.