2025 年 86 巻 3 号 p. 406-412
症例は75歳,男性.横行結腸脾彎曲部癌による腫瘍閉塞に対し,大腸ステント留置後にロボット支援下左結腸切除術を施行した.下行結腸は固定不良で,persistent descending mesocolon(PDM)であった.腫瘍は脾彎曲部にあり,副中結腸動静脈支配であると判断した.ICGで腸管血流良好を確認して腸管切離しoverlap吻合で再建した.術後5カ月目に腹痛,下痢を主訴に受診.腹部CTで吻合部より肛門側腸管に全周性浮腫性壁肥厚を認め,虚血性腸炎と診断した.絶食補液で保存的に加療したが,2カ月後の腹部CTで虚血性腸炎の増悪を認め,開腹Hartmann手術を施行した.病理組織学的診断は肛門側の腸管壁肥厚部全層の線維化,粘膜から粘膜下層の壊疽を認めた.全層の静脈内に血液鬱滞と微小血管の増生が見られた.自験例では下腸間膜静脈を切離したことで静脈鬱滞が惹起され,腸管血流の障害をきたしたと考えられた.