2025 年 86 巻 3 号 p. 413-417
症例は68歳,男性.嘔気と下腹部痛を主訴に当院消化器内科を受診した.下部消化管内視鏡検査にて閉塞性下行結腸癌を認め,bridge to surgery(BTS)としての大腸ステント留置は困難であったため,人工肛門造設目的に同日紹介となった.夜間に下腹部痛の増悪とショックバイタルを認め,造影CTにて中結腸動脈の仮性動脈瘤破裂による腹腔内出血の診断にて緊急手術を行った.腹腔内および横行結腸間膜内に大量の血腫を認め,横行結腸部分切除を施行した.一期的な下行結腸癌の切除を検討したが,脾浸潤・腹膜播種を疑う病変を認め,横行結腸での双孔式人工肛門造設術のみ施行した.病理診断では腸間膜の中型動脈性血管の血管壁に一部欠損と平滑筋の空胞変性を認め,segmental arterial mediolysis(SAM)と診断した.消化器癌に合併したSAMによる腹腔内出血は稀な疾患であり,文献的考察を加えて報告する.