2025 年 86 巻 4 号 p. 529-533
症例は72歳の女性.宿便性腸閉塞の既往があり慢性便秘症として治療されていたが,下行結腸に常に糞塊が残存するため,当院に紹介となった.CTで下行結腸に長径10cmの糞石を認めたため,内視鏡的にコーラ溶解療法を併用した糞石の破砕を行い,長径が7cmまで縮小したが完全除去はできなかった.以後,外来で経過観察していたが,長径が12cmまで増大し腸閉塞の再燃が危惧されたため,手術適応と判断した.注腸でS状結腸に伸展不良を認めており,手術所見でもS状結腸と子宮および左付属器の癒着を認めたため,慢性便秘に加えてS状結腸の癒着による通過障害も糞石形成の原因と考え,糞石を含む結腸部分切除とS状結腸の癒着剥離を行った.糞石に対する治療は,内視鏡的治療が無効の場合に外科的治療を考慮するが,手術では糞石の除去だけではなく,原因の除去が必要である.