2025 年 86 巻 4 号 p. 523-528
症例は88歳,男性,内視鏡検査で上行結腸に粘膜下腫瘍を指摘されたが,外来を自己中断していた.2年後,CTで同部位に腫瘤性病変を指摘され,内視鏡検査で1型病変を指摘された.生検で低分化型腺癌を疑われ,ロボット支援下腹腔鏡下結腸右半切除術,D3郭清を施行した.腫瘍は壁側腹膜へ浸潤があり,腹壁は一部合併切除した.膵頭部や十二指腸と結腸間膜の癒着は強く,剥離に難渋した.病理組織学的所見で上行結腸由来の脱分化型脂肪肉腫と診断した.リンパ節周囲の脂肪織や口側切離断端,腹壁切除部分は腫瘍細胞が浸潤しており,術後9カ月で小腸間膜に再発病変を認めた.
脂肪肉腫は四肢や後腹膜など軟部組織からの発生が多く,結腸由来の脂肪肉腫は非常に稀である.急速な増大と浸潤傾向を呈し,局所再発が多いため,周囲組織を含めた拡大切除が必要となる.今回,上行結腸に発生した脱分化型脂肪肉腫の症例を経験したため,報告する.