2025 年 86 巻 4 号 p. 539-544
症例は80歳の男性で,食思不振と嘔吐を主訴に前医を受診し6cm大の腫瘤性病変による十二指腸通過障害の精査加療目的で,当院に紹介となった.精査の結果,腫瘍は十二指腸水平脚に首座を置く2型腫瘍であり,膵浸潤と横行結腸間膜浸潤を認めたが,乳頭部はintactであり主膵管の拡張も認めなかった.腫瘤により十二指腸は水平脚で完全閉塞し,同部のFNAで腺扁平上皮癌と診断した.治療は準緊急的に右半結腸切除を伴う膵頭十二指腸切除術を行い,術後補助化学療法としてCAPOXを導入し現在まで1年3カ月無再発生存中である.
十二指腸原発腺扁平上皮癌は稀少疾患であり,定型的な治療戦略はまだ定まっていない.非常に示唆に富む1例を経験したので報告した.