2025 年 86 巻 5 号 p. 594-600
症例は40歳,女性.10年前より近医にて線維腺腫と診断されていた.数年前から腫瘤の増大および乳房の疼痛を自覚し,当院を紹介受診となった.左乳房A領域に可動性良好な腫瘤を触れ,超音波検査では,同部位に25mm大の内部血流豊富な腫瘤を認めた.針生検を施行すると線維腺腫の所見ではあるが,一部悪性の可能性が否定できない乳管を認め,手術の方針とした.腫瘤から1cmのマージンを取り,乳房部分切除術を施行した.術後病理学的検査にて,浸潤性乳管癌の診断となった.ER陽性,PgR陽性,HER2:1+,MIB-1陽性率:1%以下であった.線維腺腫内乳癌は極めて稀であり,今回われわれは線維腺腫内に発生した浸潤性乳管癌の1例を経験したので報告する.