日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳癌化学療法中に免疫関連有害事象と鑑別を要した加湿器肺の1例
磯野 忠大川村 知輝惟康 良平佐京 このみ上村 和康和田 英俊
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2025 年 86 巻 5 号 p. 601-604

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抄録

症例は52歳,女性.右トリプルネガティブ乳癌,cT2N1M0 Stage IIBの診断で,ペムブロリズマブを含むKEYNOTE-522試験に準じた術前化学療法と手術のあとに術後療法を行っていた.計5回を予定したペムブロリズマブの3回目投与日に,発熱と咳嗽を訴え酸素飽和度の低下を認めた.採血,X線,CTでペムブロリズマブの薬剤性肺障害を疑い,同日呼吸器内科にコンサルトした.内科の問診で術後療法開始頃より気化式加湿器の使用を開始したことが判明した.清掃状況の確認で加湿器内の汚染が疑われ,持参した加湿器内の見た目の汚染もひどく,残水の検査ではβ-Dグルカンが高値を示したため,加湿器肺の疑いと診断された.抗原隔離と精査目的に入院し,呼吸器症状は速やかに改善し第5病日に軽快退院となった.その後予定の術後療法を完遂し,現在は外来経過観察中である.また,同症状の再燃も認めていない.

今回われわれは,免疫チェックポイント薬による薬剤性肺障害との鑑別を要した加湿器肺の1例を経験したので報告する.

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