2025 年 86 巻 5 号 p. 639-646
症例は71歳,女性.横行結腸癌に対して開腹拡大結腸右半切除術を施行し,最終診断は結腸癌(T,Type2,80mm,por>tub2,pT4b(小腸間膜),ly3,v2,pPM0,pDM0,pN0,sH0,sP0,M0,pStage II)だった.術後XELOX療法を施行し,再発なく経過していた.術後約5年目の定期健診で貧血があり,精査の上部消化管内視鏡検査で胃内に粘膜下病変を認めたが,生検で悪性所見はなく,GISTの疑いで経過観察していた.9カ月後に病変の増大を認め,開腹幽門側胃切除術を施行し,術中SMVへの腫瘍の浸潤を認めた.病理結果は低分化腺癌であり,大腸癌の異時性胃転移の診断となった.術後残存病変の増大を認めたが,KRAS/BRAF変異なし,MSI-high陽性にてpembrolizumabを開始した.病変は縮小し,術後35カ月で寛解維持している.
大腸癌の胃転移は稀であり本邦では38例の報告があるが,本症例のように異時性かつ胃壁内に単発で発生する大腸癌の再発は珍しい.また,胃転移は多臓器転移の一部として認めることが多く一般的に予後不良だが,単発であれば適切な診断と治療により予後改善を見込めると考えた.