2025 年 86 巻 5 号 p. 668-671
症例は77歳,男性.1カ月前からの左側腹部痛で当院を受診した.左側腹部に熱感・圧痛のある腫瘤を認め,血液検査で炎症反応の上昇と造影CTで左側腹部にリング状に濃染される腫瘤と魚骨を疑う線状高吸収域を認めた.魚骨と推測されるものによる腹壁膿瘍形成と診断し,審査腹腔鏡を行う方針とした.腹腔鏡にて膿瘍のドレナージと魚骨の摘出を行った.腸管の穿通部位は同定できなかった.術後4日目に退院し,現在まで再燃を認めていない.本邦では食事摂取の環境から異物誤飲の原因として魚骨が多いとされている.魚骨によって腹壁に膿瘍を形成し,腸管穿通部が不明であった症例は稀である.今回われわれは腹腔鏡により良好な成績を得たが,腹腔鏡による手術で魚骨が遺残した報告もあり術前に腹腔鏡手術の是非を検討するべきである.