2025 年 86 巻 5 号 p. 663-667
症例は89歳,男性.右鼠径ヘルニアに対して腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(transabdominal preperitoneal repair:以下,TAPP)を施行した.術後11日目の夜間に上腹部痛が出現,術後12日目に嘔吐して当院に救急搬送された.CTでは右鼠径部の術後領域に小腸が入り込み腸閉塞となっており,脱出腸管の絞扼が疑われたため緊急手術を施行した.腹腔鏡下に観察すると腹膜縫合閉鎖部の外側端部が離開しており,そこに小腸が陥入していた.腸管壁の壊死性変化を認めたため,同部位を小開腹下に切除し吻合した.メッシュを除去した後に腹膜を再縫合し,ドレーンを腹膜前腔に留置して手術を終了した.TAPPでは閉鎖した腹膜の離開による腸閉塞を生じる可能性があり,隙間なく強度のある閉鎖を心掛ける必要がある.