2025 年 86 巻 6 号 p. 739-747
症例は53歳,女性.4年前に右乳房腫瘤を自覚し,他院での穿刺吸引細胞診で血性排液を認めたが,良性と診断された.1年前に右乳房の腫脹と疼痛が出現し,前医で乳腺膿瘍と診断され,穿刺排膿と抗菌薬内服で症状は軽快した.3カ月前に右血性乳汁が出現し,前医で2回穿刺吸引細胞診を行うも,4年前と同様に血性排液を認めclass IIであったが,腫瘍の増大と易出血性のため悪性の可能性を否定できず,当院へ紹介となった.右乳房に2.4cm大の混合性病変を認め,細胞診でclass V,扁平上皮癌が疑われた.右乳房部分切除術とセンチネルリンパ節生検を施行し,病理組織検査で化生癌を伴った悪性腺筋上皮腫と診断された.トリプルネガティブタイプで,術後はdose denseドキソルビシン+シクロフォスファミド(ddAC)4クール,dose denseパクリタキセル(ddPTX)4クール,残存乳房照射を行い,術後2年の現在,無再発生存中である.稀な乳腺悪性腺筋上皮腫の1例を経験したので報告する.