2025 年 86 巻 6 号 p. 792-798
症例は79歳,男性.腹痛と発熱を主訴に当院救急外来を受診.造影CTで肝外側区域に約10cm大の破裂した膿瘍と右肝内に数cm大の膿瘍を複数認め,経皮経肝膿瘍ドレナージ・抗菌薬加療を開始した.しかし,膿瘍内容物の粘稠度が高くドレナージが困難であり,感染コントロールに至らなかった.入院4日目の造影CTで肝外側区域の膿瘍が拡大,感染源制御目的に手術加療の方針となり,肝外側区域切除を施行した.肝離断面には粘液性物質を伴う回旋状の複雑な構造が認められ,血液培養・膿培養・string test陽性からムコイド産生型Klebsiella pneumoniae(hypermucoviscosityKp:hmKp)による肝膿瘍が示唆された.引き続き抗菌薬加療を行うも残存した右肝内の多発肝膿瘍が増大傾向にあり,2回目の肝切除(肝部分切除術3箇所)を施行した.その後,全身状態は改善し術後23日目に退院となった.hmKpによる肝膿瘍に対して2回の肝切除により救命できた症例を経験したので報告する.