日本臨床外科学会雑誌
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症例
トロンボポエチン受容体作動薬併用で周術期治療を完遂したITP併存乳癌の2例
李 東押野 智博桑原 小百合羽田 光輝細田 充主高橋 將人
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2025 年 86 巻 7 号 p. 890-895

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抄録

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は免疫機序により血小板が減少する後天性疾患であり,固形癌を併存すると周術期や化学療法中の血小板減少リスクが高く,治療が困難となる.今回,われわれはトロンボポエチン受容体作動薬(TPO-RA)を用いて手術および化学療法を完遂したITP併存乳癌の2例を,文献を踏まえて検討した.症例1は47歳,女性.乳癌の診断と同時に血小板減少を認め,精査でITPの診断となった.エルトロンボパグ(12.5-37.5mg)+プレドニゾロン(5mg)で血小板は10万/μl以上に維持でき,手術と術後化学療法を施行した.症例2は16歳でITPを発症し,プレドニゾロン2.5mgで安定していた.47歳で乳癌と診断され,血小板輸血のうえで手術を施行し,術後エルトロンボパグ(25-37.5mg)を開始し血小板を10万/μl以上に維持でき,化学療法を完遂した.

TPO-RAを用いることで,ITPを併存する乳癌患者において血小板数を安定的に維持し,手術および化学療法を安全に完遂できる可能性が示唆された.

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