2025 年 86 巻 8 号 p. 1055-1059
症例は76歳,女性.1カ月間続く倦怠感,食思不振により当院を受診.造影CTで小腸に腫瘤性病変を認めた.また,腹腔内にはfree air,多量の腹水を認めた.右腸腰筋にも腫瘤性病変を認め,転移が疑われた.小腸腫瘍による穿孔の診断として緊急で腫瘍を含む小腸を切除,吻合した.病理診断は粘液型脂肪肉腫であった.全身状態を考慮して術後化学療法は施行しなかった.自宅退院したものの,その後小腸穿孔による膿瘍形成を再発し,術後1年3カ月で死亡するまでドレーン管理を必要とした.
脂肪肉腫を含む軟部腫瘍に対して,軟部腫瘍診療ガイドラインでは転移巣を含む腫瘍の切除をすること,切除不能である場合は薬物療法を行うことが推奨されているが,症例が少なく組織型別の治療方針は定まっていない.また,本症例のように高齢および穿孔をきたした症例は,術後ADLも低下していることが多く術後化学療法を行うべきか判断に苦慮する.今後のエビデンスの蓄積が必要である.