2025 年 86 巻 8 号 p. 1095-1101
骨盤骨折を伴う会陰部の複雑性外傷を契機に広範な壊死性軟部組織感染症を経験した.症例は59歳,男性.作業中にクレーン車に骨盤部を挟まれ,近医に緊急搬送された.恥坐骨骨折と右臀部,会陰部の挫滅創の診断で処置され入院となった.受傷後4日目に高熱と会陰部創からの悪臭を伴う膿性排液が認められ,背部と大腿部に広範の発赤と腫脹をきたしていたことより,当科に緊急搬送となった.当院での精査の結果,会陰部外傷による壊死性軟部組織感染症の診断で緊急開創ドレナージ術,人工肛門造設術を施行した.約2週間に及ぶICU管理と1カ月を超える感染症治療を行った.計4回のdebridementを行い,分層植皮にて治癒を得ることができた.術後1年で人工肛門を閉鎖し,就業可能となった.臀部の外傷,特に肛門に近接している骨盤骨折を伴う会陰部の開放創は適切な管理が極めて重要である.