2026 年 87 巻 1 号 p. 28-32
患者は72歳,女性.58歳時に左乳癌に対し腋窩リンパ節郭清を伴う左乳房部分切除術が施行され,術後治療と外来経過観察の後,定期健診となっていた.術後14年目,温存乳房に腫瘤を自覚し受診.精査にて温存乳房内再発乳癌と診断されたが,対側腋窩リンパ節転移を伴っていた.初回乳癌の組織型およびサブタイプとは異なるため新規発生の乳癌と考えられたが,全身検索で他の病変を指摘されず,初回手術によるリンパ流の変化で生じた領域リンパ節転移と考え,根治目的に左乳房切除術および右腋窩リンパ節郭清術を施行した.術中にICGを用いてリンパ流を確認したところ,左乳房から右腋窩へ流入したリンパ流が,摘出したリンパ節に直接に到達していることを確認した.温存乳房内再発乳癌に対側リンパ節転移を伴う場合,ICG蛍光法はリンパ流を術中に直接観察することができるため,手術の根治性を考慮する上で有用ではないかと考えられる.