2026 年 87 巻 1 号 p. 24-27
症例1は67歳,女性.右乳癌Stage IIBに対し術前化学療法のドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)療法とトラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル療法を完遂後に手術を施行し,術後補助治療としてトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)を開始.4コース目を施行予定の外来受診時に両側流涙と違和感を訴え眼科に紹介,両側涙点狭窄を認め,涙管チューブ挿入術を施行し眼症状は速やかに改善,T-DM1を完遂した.症例2は63歳,女性.左乳癌Stage Iに対し術前化学療法のAC療法とトラスツズマブ+ドセタキセル療法を完遂後に手術を施行し,術後補助治療としてT-DM1を開始.6コース目を施行予定の外来受診時に両側霞目・流涙を自覚し,眼科にて角膜障害と涙道障害を認めた.涙管チューブ挿入術を施行し速やかに流涙は改善され,T-DM1を完遂した.2症例とも早期に眼科的治療介入を行うことで,T-DM1を完遂できた.T-DM1の副作用に涙道障害があることを考慮し,早期の症状認識と眼科的介入が肝要だ.