2026 年 87 巻 1 号 p. 59-65
症例は78歳,男性.腹部膨満感を主訴に前医を受診し,腹部造影CTにて後腹膜腫瘍を認め,手術目的に紹介となった.初診時身体所見は,左上腹部に腫瘤を触知した.腹部造影CTにて,左上腹部に15cmの造影効果を伴う腫瘤を認めた.腫瘍の栄養血管は左第4腰動脈,左腸腰動脈,内腸骨動脈分枝であった.EUS-FNAを施行し,病理にて孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:以下SFT)と診断された.出血のリスクを考慮し,腫瘍血管である左第4腰動脈・左腸腰動脈・内腸骨動脈分枝を術前に径動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)にて塞栓し,手術を施行した.術中所見では,左腹部に弾性軟な腫瘤を認め,左腸腰動脈と左内腸骨動脈分枝を結紮切離し,腫瘍を一塊に摘出した.病理組織学的検査にて,紡錘形細胞が密に増殖し多数の血管が介在しており,SFTと診断された.稀な症例と考え報告する.