2026 年 87 巻 1 号 p. 66-70
成人臍ヘルニア破裂は腹水等による腹腔内圧上昇が誘因であり,本邦では比較的稀である.症例は73歳,女性.肝硬変に対し近医加療中であった.2019年に臍ヘルニアに対して手術を受け,2020年より臍周囲の再膨隆を認めていたが,自己判断で放置していた.2022年,破裂音と共に臍ヘルニア部からの腹水の漏出,腸管露出が出現したため救急搬送となった.緊急手術の方針となり全身麻酔下に臍ヘルニア修復術を行った.術後に発熱し血液培養にてmethicillin-sensitive Staphylococcus aureus (MSSA)陽性となったが,抗菌薬開始後は良好に経過した.術後2年に肝硬変増悪により死亡するまでの間,臍ヘルニアの再発は認めなかった.