2026 年 87 巻 1 号 p. 7-11
目的:膵切除後の生存期間延長に伴い,術後膵外分泌不全(PEI)が注目されている.これに対し,膵酵素補充療法としてパンクレリパーゼ(リパクレオン®:以下,リパクレオン)が処方されているが,投与開始や減量の明確な基準はない.本研究では実臨床における投与の目安を明らかにすることを目的とした.方法:当科で膵切除を施行した223例を対象に,リパクレオンの開始時期,要因,処方期間,投与量,術式,中止因子を検討した.結果:術後PEIと診断されリパクレオンが処方されたのは70例(31%)であった.投与例のうち58例(83%)は術後1年以内に開始され,主因は脂肪肝と下痢であった.処方期間は1カ月~4年(中央値6カ月)で,約7割に900mgが投与され,推奨用量の1,800mgは少数であった.結論:術後1年以内の下痢や脂肪肝に注目することで適切な処方が可能であり,推奨量の半量でも有効性が得られる可能性が示唆された.