2026 年 87 巻 2 号 p. 195-199
症例は55歳の男性であった.当院循環器内科のスワンガンツカテーテルによる冠動脈造影検査を施行して数時間後に突然の腹痛を認めた.腹部所見に乏しく保存的治療の方針としたが,翌日腹部所見が増悪し,反跳痛を認めた.腹部造影CTでは門脈ガスを認め,上行結腸の壁の造影効果は乏しく,横行結腸は粘膜の造影効果は保たれていたが,浮腫状であった.上行結腸壊死の診断で緊急手術を施行した.開腹所見では上行結腸は壊死を認めた.切除範囲の決定のため術中にindocyanine greenを施行したところ,肉眼観察では色調良好であった横行結腸までの血流不全を認めた.拡大結腸右半切除術を施行した.術後病理学的検査でコレステロール結晶塞栓症による結腸壊死の診断に至った.術後8日目に循環器内科に転科となり,術後19日目に退院となった.今回われわれは,コレステロール結晶塞栓症による結腸壊死の稀な1例を経験したので,報告する.