2026 年 87 巻 2 号 p. 205-211
癌性髄膜炎は大腸癌での発生は稀である.髄液細胞診にて診断した大腸癌を原発とする癌性髄膜炎を2例経験した.症例1:76歳,男性.直腸癌術後の肝および遠隔リンパ節転移に対して,三次治療中であった.意識障害をきたし造影MRIで異常を認めなかったが,髄液細胞診にて癌性髄膜炎と診断した.対症療法により一時的な意識障害の改善を認めたが,入院27日目に永眠した.症例2:80歳,女性.横行結腸癌を原発とする副腎および多発遠隔リンパ節転移に対し,一次治療中であった.意識障害をきたし造影MRI,髄液細胞診にて癌性髄膜炎と診断した.対症療法に加え化学療法と全脳照射を行ったが,入院23日目に永眠した.意識障害や嘔吐,頭痛などの神経症状を認める際は癌性髄膜炎を鑑別に挙げる必要がある.低分化腺癌や高度リンパ節転移を有する症例は高リスクとされる.造影MRIが有用であるが異常所見を認めない場合もあり,癌性髄膜炎を強く疑う場合には髄液検査を考慮すべきである.