日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
不明熱の原因であった鼠径部腹膜中皮腫の1例
林 尚子, 小川 克大, 岩槻 政晃
著者情報
ジャーナル フリー

2026 年 87 巻 3 号 p. 366-373

詳細
抄録

症例は78歳,女性.高熱の持続を主訴に近医を受診.不明熱の原因精査目的に当院に紹介となった.WBC・CRPの異常高値を認め,精査されるも原因の特定はできなかった.左下腹部~鼠径部に長径約5cmの腫瘤を認め,確定診断を得るため手術を施行.左恥骨~鼠径管~鼠径部後壁~外腹斜筋腱膜にはまり込むように約6cm大の腫瘤が存在し,腫大した鼠径リンパ節とともに摘除した.病理組織検査で,局所リンパ節転移を伴う左鼠径部原発の腹膜中皮腫と診断した.術後速やかにWBC・CRPは正常化し,完全に解熱した.貧血も改善し,術前高値であったsIL2-R・血清IL-6も正常化した.化学療法は施行せず,術後1年を経過したが無再発生存中である.

腹膜中皮腫は,中皮腫の10~20%と発症頻度が低く,発見や確定診断が困難とされている.今回,不明熱の原因であった鼠径部腹膜中皮腫の1例を経験したので報告する.

著者関連情報
© 2026 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top