全日本鍼灸学会雑誌
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原著
直接灸および灸頭鍼刺激が表皮局所に及ぼす影響
酸化還元電位および水素イオン濃度を指標として
渡邉 勝之篠原 昭二
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2008 年 58 巻 4 号 p. 654-664

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抄録

【緒言】鍼刺激では動的経穴にイオン化傾向の異なる銅鍼と亜鉛鍼を刺鍼した時のみ、 表皮表面局所における酸化還元電位 (ORP:Oxidation-Reduction Potential) が有意に低下することを明らかにしてきた。 本実験では、 直接灸および灸頭鍼刺激前後におけるORPおよび水素イオン濃度 (pH) に及ぼす影響について検討した。
【方法】ボランティアの非経穴および独歩可能な患者の動的経穴に直接灸・灸頭鍼 (輻射熱遮断あり・なし) および燔鍼を行い、 刺激前後の測定を行った。
【結果】ORPは非経穴への全ての灸刺激で変化を示さなかったが、 動的経穴では有意(p<0.01)に低下を示した。 一方、 pHでは非経穴または動的経穴に関係なく、 直接灸では有意(p<0.01)に低下し、 灸頭鍼輻射熱遮断では逆に有意(p<0.01)に上昇する変化が認められた。
【結論】鍼灸臨床において、 我々は動的経穴の灸点[+点]には直接灸、 禁灸点[-点]には灸頭鍼を使い分けているが、 本実験により、 直接灸と灸頭鍼刺激では生体に及ぼす作用が逆であることが明らかとなった。

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© 2008 社団法人 全日本鍼灸学会
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