鍼灸治療は長い歴史を有する東洋古来の伝統医療であり、 数多くの疾患や症状に効果が期待できる治療法である。 近年、 欧米各国からも鍼灸医療に関する基礎・臨床研究が数多く報告されており、 統合医療としてその確立が期待されている。 本学における東洋医学部門の設立は1984年であり、 約25年間にわたり医科大学において診療や研究・教育に従事してきた。
診療においては、 診療各科との連携を深め、 診療依頼患者も過半数を超え、 入院患者も取り扱っている。 鍼灸治療の対象となった患者群は難治性の疼痛や麻痺、 一連の不定愁訴などであり、 鍼灸治療の有効率は高く、 医科大学病院において鍼灸治療の果たす役割の大きいことも示唆された。
研究においては、 鍼灸医療に関する基礎・臨床研究を推進し、 一次性頭痛や脳血管障害、 顔面神経麻痺、 関節リウマチ、 Sjögren症候群、 非特異的腰痛などに対する鍼灸治療の効果やその作用機序について検討した。 また、 自律神経や免疫を指標とした検討において伝統医療の特質を科学的に解明した。
今後、 各診療科の専門医と連携を深め、 鍼灸治療の有効性や有用性を明らかにし、 EBMに基づいた研究を推進することが必要不可欠である。 伝統医療である鍼灸医療を医科大学の中に明確に位置づけるとともに、 統合医療として確立させ、 日本の鍼灸医療を世界に発信したいと念願している。