全日本鍼灸学会雑誌
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治療スタイル別に見た鍼灸の直後効果
中村 真通八亀 真由美齊藤 秀樹村居 眞琴
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2012 年 62 巻 2 号 p. 140-147

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抄録

 【目的】鍼灸臨床では施術初期における症状の改善や治療に対する満足感は継続受療にもつながり大切となる。 その治療スタイルは多種多様であるが、 本研究では本校で行われている現代鍼灸 (現代)・経絡治療 (古典)・中医鍼灸 (中医) の治療スタイルに着目し、 治療スタイル別の直後効果や刺激の感じ方から施術の特徴を検討することを目的とした。
【方法】本校、 鍼灸マッサージ教員養成科附属施術所に来院された患者に対し、 施術の前後に質問紙を177名に配布し、 169名から有効回答を得た。 施術者は教員養成科入学後、 約1年を経過した学生で、 担当する患者との係わりは平均1.2回と施術の初期の段階に実施した。 調査は質問紙形式で、 施術前に主訴や症状の程度などについて聞き、 施術後に症状の程度、 治療の満足度、 刺激の感じ方などを聞いて統計的な処理を行った。
【結果】施術者が選択する治療スタイルは現代・古典・中医の順で多く、 腰下肢痛や関節痛は現代で、 頸肩腕痛は古典で、 内科疾患は古典や中医で治療を行う割合が多かった。 症状の改善、 治療の満足度はいずれの治療スタイルにおいても良好な結果であり、 3群において有意差は見られなかった。
【考察】系統立てた理論と実技の学習を行うことで、 1年という期間でも直後効果を上げられることが示唆された。 鍼灸の治療スタイルは様々あるが、 治療スタイルにとらわれることなく臨床実践において、 患者に効果を実感してもらうことが大切だと考える。
【結論】現代、 古典、 中医のいずれも症状の改善、 治療の満足度は良好な結果であり、 3群に有意差は見られなかった。

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© 2012 社団法人 全日本鍼灸学会
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