日本鍼灸の特質は、 多様性にある。 その多様性は、 他国の知見と技術を積極的に取り込み、 日本の風土や文化に適合するように、 日本人のメンタリティをもって創意工夫されたことで形成されたものと考えられる。 こうした多様性をもつ日本鍼灸は、 その性質において様々な医療と補完、 あるいは統合を可能とすることから21世紀の医療に相応しい鍼灸といえよう。
今、 世界はグローバル化の潮流の中で標準化が進行している。 それは医療の分野でも同様であり、 鍼灸においてもISOの諸課題に象徴されるように標準化が強く求められている。 しかし、 鍼灸の健全な発展をはかるには、 標準化の作業よりはまず各国の鍼灸の特色を相互に尊重し、 交流を図ることが重要であると考える。
そのような意味において、 日本鍼灸の特質を国内外に向けて発信することは、 21世紀における日本および世界のよりよい医療に貢献するとともに鍼灸の未来を拓くことに繋がるものと確信している。 「東京宣言」 は、 まさにそのことを国内外に向けて宣言したものである。