全日本鍼灸学会雑誌
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臨床体験レポート
鍼治療単独により心室性期外収縮頻度の減少が得られた一症例
脇 英彰皆川 陽一宮崎 彰吾久島 達也
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2019 年 69 巻 3 号 p. 217-224

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抄録
【目的】心室性期外収縮 (PVC) は、 基礎疾患のない健常者において最も多くみられる不整脈である。 近年では不整脈に対する薬物療法と鍼治療の併用効果が報告されているが、 鍼治療単独の研究は少ない。 そこで、 内科医院でPVCと診断された患者に対し、 鍼治療を試みた1症例を報告する。 【症例】41歳、 男性。 主訴:不整脈と肩こり。 既往歴:過去3回の発作性心房細動。 現病歴:上腹部の不快感からX-1年4月に内科医院を受診し、 ホルター心電図の結果から PVC (0.1%以下) がみられるものの問題なしと診断される。 X年1月に症状が悪化し、 12誘導心電図とホルター心電図を実施し、 PVCの単発総数と2段脈の増加がみられたが薬物療法は勧められず経過観察となった。 しかし、 日常生活で不快感があることから鍼治療を開始することとなった。 【方法】鍼治療は不整脈の治療として、 内関、 心兪、 神門、 足三里、 百会、 中、 太渓を選穴し、 旋撚後に10分間の置鍼を行った。 肩こりの治療として、 圧痛部位に10分間の置鍼を行い、 治療頻度は2回/週とした。 効果判定はVASによる胸部不快感、 SF-36v2によるQOL、 ホルター心電図による24時間のPVCの総数とした。 【結果】1診目の胸部不快感によるVASは1診目では68mm、 3診目では9mm、 5診目では 15 mm、 7診目では4mm、 9診目ではVASが3mmとなり、 SF-36v2の改善も見られた。 日常生活においても不整脈による不快感はほぼ消失した。 また、 治療開始前のPVC単発回数は534回/日、 2段脈は3回/日であったが、 2週間後のPVC単発回数は120回/日、 2段脈は0回/日となり、 PVC総数は正常範囲に近づいた。 【考察】PVCに対する鍼治療は単独でも有効となる可能性があり、 医師の診断によって安全性を考慮した上で行う鍼治療はPVC総数を減少させQOLを改善させることが示唆された。
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