全日本鍼灸学会雑誌
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国際部報告
ポルトガルにおける主要な鍼治療法
鶴 浩幸
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2020 年 70 巻 3 号 p. 267-276

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抄録
 本稿では、ポルトガルにおけるA.P.A.E.Medical Doctors Group、Federacao Portuguesa de Medicina IntegrativaおよびClinica Tsuchiyaなどで教育、実践されている主要な鍼診療法の1つである土屋式鍼治療について紹介する。A.P.A.E.Medical Doctors Groupはポルトガルにおける医師を中心とした主要な鍼医学の協会である。土屋式鍼治療は麻酔科医である土屋光春 教授が主にポルトガルを中心に40年以上にわたって行った診療の臨床実績およびSaint Louis病院などにおける研究から導き出された一連の実践的鍼治療法である。土屋式鍼治療において頻繁に使用されるのは「Pica-Pau(ピカパウ)」とよばれる独特の断続的高頻度鍼通電療法 (100-200Hz) であり、Pica-Pauと低頻度鍼通電療法 (1-10Hz) などを組み合わせて行う(狭義の)コンビネーション治療が特徴的である。また、併用治療として通常の鍼、灸、ホットパックまたはアイシング、ホットパック/アイシングなどによる同時刺激法または交換刺激法のほか、指圧、皮内鍼、円皮鍼、テーピング、刺絡などを用いることも(広義の)コンビネーション治療として重要である。Clinica Tsuchiyaなどでは種々の疾病、症状の患者が鍼治療を受けており、その効果が長期間におよぶことも珍しくはない。多くの患者が鍼治療に大きな希望を見出していると感じられる。筆者は土屋式鍼治療の治療実績も含めて鍼の広範囲かつ長期間におよぶ効果を説明するためには、仮説として、①局所と全身との関係性(主訴に対する直接的作用と間接的作用)、②人体各部の相互作用、相互影響、③長期効果(複合的効果)、などの視点から鍼医学に関する研究や考察を行う必要があると考えている。最後に、鍼治療がその真価を世界中で正当に評価され、かつ、西洋医学とも手を携えて、患者や社会の利益のために充分に活用されることを願って止まない。
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