2025 年 58 巻 2 号 p. 68-76
【背景・目的】Venocutaneous fistula(VCF)の有用性につき検討した.【対象】2017年5月~2023年10月に望星第一クリニックおよびうぬま東クリニックでVCFを作成した65症例(男性27例,女性38例)74肢を対象とした.いずれも全身状態や血管の状態が不良なことからAVF,AVG造設が困難な症例であった.【方法】瘻孔作成手術および瘻孔を用いた透析における治療成績から本法の有用性につき検討した.【結果】瘻孔形成術中,術後に重篤な合併症を認めなかった.感染率は0.27/1,000瘻孔維持日,血流感染は0.09/1,000瘻孔維持日であった.Kaplan‒Meier法による2次開存率は,1年82.6%,3年62.6%であった.観察期間中,6例に大腿静脈血栓を認めた.生存率は1年52.1%,3年32.3%であった.【結論】本法は良好な開存率と感染率の低さを有しておりバスキュラーアクセス作成困難例における代替法として有力な選択肢の一つと考えられた.