2025 年 75 巻 2 号 p. 220-234
本シンポジウムでは、 国内の診療ガイドラインにおける鍼灸治療の現状と課題について概観し、 エビデンスの充実と他分野のガイドラインへの鍼灸治療の収載を目指した対応策を議論するべく、 大川祐世氏、 石山すみれ氏、 堀部豪氏、 谷口博志氏、 伊藤千展氏が登壇した。 シンポジウムの前半では、 大川氏が鍼灸の推奨が含まれる診療ガイドラインの現状と、 各ガイドラインにおける記載内容や課題について解説した。 次に、 石山氏が頭痛診療における鍼灸の位置づけと、 多職種連携における役割について報告し、 鍼灸がチーム医療の一環として活用される可能性を示した。 堀部氏は、 顔面神経麻痺に対する鍼灸治療が 「弱い推奨」 としてガイドラインに新たに収載された意義について述べ、 今後のエビデンス構築の方向性について考察を行った。 谷口氏は過敏性腸症候群に関するガイドラインを取り上げ、 過敏性腸症候群の鍼灸治療における基礎研究の成果と臨床的有効性を紹介し、 その限界と今後の課題を指摘した。 伊藤氏は過活動膀胱に対する鍼灸治療の位置づけについて述べ、 近年のガイドライン改訂において鍼治療が 「その他の保存療法」 として収載された経緯と、 エビデンスの強化が必要であることを報告した。 各講演を通じ、 ガイドラインにおける鍼灸治療の位置づけが向上しつつある現状が示されるとともに、 今後の課題としてエビデンスの質向上や他分野のガイドラインへの収載を進めるための方策が議論された。 本シンポジウムが鍼灸治療のさらなる普及と他医療分野との連携強化に寄与することを願う。