抄録
著者はすでにラット胃の酢酸・焼灼潰瘍に対し, 鍼の経穴刺激の治療効果を報告した。その結果は, 一般に経穴刺激は潰瘍の治癒に良好な成績を示すが, 過重な刺激はかえって治癒を阻害するような結果を得た。本実験は, より良い治癒条件を求めるため, 刺激の間隔を広げ, 治癒と刺激の過重度との関係を明らかにした。潰瘍の治療効果の判定は一般に肉眼的計測法が用いられているが, 著者は, 肉眼的計測法と組織学的計測法を併用し, その結果を比較検討し, 誤差等が少い組織学的測定法を採用するほうが良いと考えている。潰瘍治癒機作については, 実験成績から, 幅と深さの治癒機作には差があるように考えられ, 特に潰瘍底肉芽組織内の物質の輸送および拡散について検討した。