全日本鍼灸学会雑誌
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32 巻, 2 号
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  • 1回施灸による腹腔滲出細胞および腹腔マクロファージのライソゾーム酵素活性の動態
    古屋 英治, 岡崎 雅子, 笠原 多嘉子, 坂本 浩二
    1982 年 32 巻 2 号 p. 1-8
    発行日: 1982/11/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    施灸刺激によりマウス貪食能亢進傾向を認めたわれわれの報告6)から,さらに1回施灸刺激後の腹腔滲出細胞 (PEC) および腹腔 macrophage (腹腔Mp) のライソゾーム酵素 (acid-phosphatase, β-glucuronidase) 活性の測定と, その形態変化について検索した。動物はddY, ICR系雄性マウス (5~6週令) を用い, 総艾重量15mg/body を期門穴相当部位へ施灸した。ddY系マウスでは施灸後3hでPECの acid-phosphatase 活性の増加, ICR系マウスは施灸後3hでPECの細胞数増加および acid-phosphatase 活性の低下がみられ, また施灸後120hで腹腔Mpのβ-glucuronidase 活性が増加した。以上の結果から施灸によるカーボン貪食能亢進時には同時にPECおよび腹腔Mpの活性化傾向を認めた。
  • 間歇的連続施灸刺激による検討
    岡崎 雅子, 古屋 英治, 松山 陽太郎, 坂本 浩二
    1982 年 32 巻 2 号 p. 9-16
    発行日: 1982/11/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ddY, ICR 系雄性マウス (5週令) を用い, 総重量15mg/body の艾を左右期門穴相当部位に, I) 隔日5回, II) 隔日15回, III) 週2回の割合で15回と連続施灸を行い, カーボン貪食能, 腹腔滲出細胞および腹腔 macrophage のライソゾーム酵素活性への影響を検索した。ICR系マウスでは食作用亢進はみられない反面, ライソゾーム酵素活性の変動が強く, ddY系マウスではIIIの連続施灸で食作用の亢進とライソゾーム酵素活性増加が認められた。以上, 本実験条件による連続施灸では必ずしも1回施灸にみられた貪食能亢進効果増強を現すとは限らず, 生体の適応現象と相まって網内系に作用し, 生体防御反応の内在的賦活傾向を有する事が示唆された。
  • (1) 皮膚温・深部組織温を指標として
    篠原 昭二, 松本 勅, 西牧 紀子, 鷲見 英法
    1982 年 32 巻 2 号 p. 17-23
    発行日: 1982/11/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    There are several methods of acupuncture for stiff shoulders such as pecking stimulation, LFEA, and (SSP).
    These three types of stimulation were given to the suprascapular region and variation of blood flow Silver Spike Point in the skin and the muscle was observed.
    In our study, we made it a rule to take the skin temperature and the deep temperature of 1cm deep under the skin for the index.
    As a result, concerning the muscle blood stream at the stimulus point, it was found that LFEA and SSP caused a significant increase in the muscle blood flow and pecking stimulation also showed a 43% increase in the muscle blood flow. The skin blood flow showed the same effect as the muscle blood flow.
    Furthermore, about the influence of stimulation on the remote region from the suprascapular region we observed variation of the skin temperature on the back of hand and the index finger, it showed a transient decrease in blood flow with pecking stimulation and LFEA, whereas there is little variation with SSP.
    From this observation, it was indicated that pecking stimulation without any muscle contraction improved an amount of the blood stream at the stimulated region and about the peripheral circulation to the remote region the inserting technique such as pecking stimulation and LFEA will unfluence it.
  • 宮村 健二, 井藤 学, 原 志郎, 道下 清治, 米島 芳文, 西條 一止
    1982 年 32 巻 2 号 p. 24-33
    発行日: 1982/11/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Studies have been made by Tsukuba University on the sympathomimetic reaction by various stimulus such as heat, acupuncture, moxibustion and pressure. We performed stimulus with acupuncture anesthesia method on 10 healthy adult men to determine the effect of acupuncture stimulus.
    They were given 3 types of stimulus to evaluate the effect of acupuncture stimulus on blood pressure and post stimulus and given a T-test among these stimulus. We made use of 8 points as stimulus points: right and left LI-4, HC-6, SP-6 and ST-6.
    1; In the electro-acupuncture stimulus for 30 minutes with 1Hz, systolic pressure decreased significantly, whereas diastolic pressure increased.
    2; In the situ stimulus for 30 minutes, it was found that, in average, systolic pressure was decreased and diastolic pressure was increased but they showed no significant difference. Pulse pressure was significantly decreased.
    3; In the spotted skin electro stimulus for 30 minutes with 1Hz, systolic pressure decreased significantly, whereas diastolic pressure showed no variation as well as the control group.
    It is supposed that acupuncture stimulus and electro stimulus made for peripheral vessel contraction as well as palmus restrain, whereas the spotted skin electro stimulus made for palmus restrain.
  • 猪狩 知之, 木村 好弘, 下村 壮介, 林 信治, 坂本 浩二
    1982 年 32 巻 2 号 p. 34-39
    発行日: 1982/11/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    当施設に来所した慢性肝障害者を対象に, 自覚症状と肝機能検査を主とする生化学検査を指標として, 鍼灸と薬剤 (主として漢方薬) との併用による治療効果の有用性について, 8例を対象に1年間にわたり観察した。治療穴は右期門, 右不容, 中〓, 足三里, 三陰交, 太衝, 至陽, 膈兪, 肝兪, 脾兪穴を基本的施治部位とし, それ以外の穴は患者の愁訴に併せて適宜運用した。治療は週2回を原則とした。その結果, 血清GOT, GPT, γ-GTPの有意な改善を認め, 血清蛋白の増量が認められた。また, 自覚症状においても改善が有意に認められた。以上のことから, 鍼灸および薬剤の併用治療は慢性肝障害に対して有効性を示唆したものと思われる。
  • 森 英俊, 嶋 俊和, 坂井 友実, 矢澤 一博, 吉川 恵士, 西條 一止, 加納 勝利, 北川 龍一
    1982 年 32 巻 2 号 p. 40-46
    発行日: 1982/11/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    体壁からの物理的療法 (鍼および皮膚表面電極刺激) が神経因性膀胱に対し, どのような効果を有するかを検討した。
    対象患者は73症例 (男50例, 女23例) で, 年齢15~78歳 (平均59.8歳) である。
    神経因性膀胱鑑別の指標として, 膀胱内圧, 尿流量および尿道内圧を測定し, 膀胱容量, 残尿量の変化について観察検討した。
    その結果は, 交感神経系の過緊張のための排尿困難の症例では, 排尿状態の改善が71.4%に認められた。また, 低緊張膀胱においても, 少数例ではあるが排尿状態の改善するものが認められた。
    神経因性膀胱に対する排尿状態の改善を図る方法として, 皮膚表面電極刺激を応用した鍼麻酔方式の効果は臨床的に有意義であると考える。
  • 河内 明, 北出 利勝, 豊田 住江, 亀井 順二, 兵頭 正義, 細谷 英吉
    1982 年 32 巻 2 号 p. 47-51
    発行日: 1982/11/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    鍼の鎮痛効果を増強する物質とされるD型フェニルアラニン (DPA) を, 各種疼痛性疾患に前投薬として応用, その臨床的な効果を検討した。
    方法は, 当科を訪れた比較的慢性化した顔面痛, 後頚部痛, 五十肩, 腰下肢痛, 膝痛を訴える患者 (計24名) を対象とし, 1名の患者につきあらかじめDPAを0.5g術前投与させたのち, 鍼治療 (2回) した直後効果とプラシーボ (乳糖) 群 (2回) とを比較して二重盲検法で行った。鍼治療は各々の症状に対して, 対照群, 試験群ともに昭和55年度, 日本鍼灸師会経穴委員会が報告した臨床的に使用頻度の高い経穴を選穴することを基準とし, 低周波置鍼療法を行った。
    その結果, 各種疼痛疾患患者における効果は, DPAを術前投与したのち鍼治療を行ったところ, プラシーボ群に比較して著効・有効率が30%上昇することを認められた。疼痛疾患に対して, DPAを術前投与しておくと, 鍼における鎮痛効果の増強が認められた。
  • 低周波磁気鍼療法のMVに及ぼす効果について
    矢野 忠, 森 和, 大野 正博, 窪田 俊夫, 角田 忠男
    1982 年 32 巻 2 号 p. 52-59
    発行日: 1982/11/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    貼付用磁気鍼は, 針状小突起による“圧刺激効果”と, 突起に磁気が集中して放出される“集放性磁気刺激効果”との相乗効果をもつ特殊鍼の1つである。
    この磁気鍼に低周波通電を行なう方式を低周波磁気鍼療法というが, この方式の刺激特性と治療効果を客観的に評価する目的で. 健康成人と患者を対象にMVを指標に検討した。MVの解析はシグナルプロセッサーで周波数分析を行なった。
    その結果, 一般型低周波ツボ療法に比して, 低周波磁気鍼療法では, MVの周波数帯域はおおむねα帯域の増加を示し, 快的刺激感を反映する傾向を示した。
  • 今井 正行, 丹羽 滋郎, 黒田 正誼, 三井 忠夫, 服部 友一
    1982 年 32 巻 2 号 p. 60-64
    発行日: 1982/11/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチの病因は自己免疫性の疾患として理解されている。今回慢性関節リウマチ患者の経穴の皮膚電気抵抗値を測定し, 変形性膝関節症との対比, また, 臨床症状と経穴の相関性, 更に鍼刺激による病態への影響について検討した。結果, 慢性関節リウマチ群は変形性膝関節症群に比べその値が高い傾向を示し, また慢性関 リウマチの活動性の高い群が低い群に比べ皮膚電気抵抗値が低い傾向を示した。慢性関節リウマチ患者の経穴の状態がその病状を示すものと推定され, 太谿穴, 三陰交穴において有意の相関性を認めた。更に鍼刺激は慢性関節リウマチの病態に大きく影響を与えた。
  • 鈴木 雅夫
    1982 年 32 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 1982/11/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    はり, きゅう, あんま法を理療科療法の基礎療法としてとらえ, この見地より地域と職業を特定し, その動向を知り問題の所在を発堀する目的でアンケート調査を行った。
    結果: 治効を認める者70~80%。理療科療法の適応症の主な誘因は仕事である。受療体験率に比し今後の治療要求率は高いが, 保健のための要求率に伸びがない。受療障害の第1位は受療費の高い自己負担率で, つぎが治療の内容や方法に不安があるとなっている。
    今後の課題: (1) 受療費の自己負担額軽減の早期実現 (2) 理療科療法が除疲労, 健康増進の保健・予防医療として有用であることのPR (3) 産業医療としての理療科療法の確立。
  • とくに時間療法としての鍼について
    森 和, 矢野 忠, 安久津 政人, 浦野 菊男, 武藤 進
    1982 年 32 巻 2 号 p. 74-82
    発行日: 1982/11/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    東洋医学と西洋医学の接点に立つ重要な理論としてバイオリズムをとりあげ, とくに「時間療法」の枠組みを通して鍼のもつユニークさと新しい可能性について分析・検討した。
    研究対象としてイヌ15頭を用い, 3時間毎に1日24時間の各種血中ホルモン分泌量を測定し, そのサーカディアンリズムの解析を行った。ついで副腎皮質機能の指標として血中コルチゾールをとりあげ, 周期回帰分析でえた高分泌相と低分泌相の時間帯に鍼通電刺激を行い, 各時間帯における鍼刺激感性と血中ホルモンの分泌パターン (反応性のリズム) との相関について分析検討した。
    その結果, 低分泌相に鍼刺激を行った方が副腎皮質の機能をより賦活し、分泌量も増大するという成績がえられた。このことは同時に, 生体フィードバック系の賦活を根本原理とする鍼治療のユニークさと, 時間療法としての鍼の有用性を示唆していると考える。
  • 鍼刺激の治療効果 (II)
    本郷 孝博
    1982 年 32 巻 2 号 p. 83-87
    発行日: 1982/11/01
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    著者はすでにラット胃の酢酸・焼灼潰瘍に対し, 鍼の経穴刺激の治療効果を報告した。その結果は, 一般に経穴刺激は潰瘍の治癒に良好な成績を示すが, 過重な刺激はかえって治癒を阻害するような結果を得た。本実験は, より良い治癒条件を求めるため, 刺激の間隔を広げ, 治癒と刺激の過重度との関係を明らかにした。潰瘍の治療効果の判定は一般に肉眼的計測法が用いられているが, 著者は, 肉眼的計測法と組織学的計測法を併用し, その結果を比較検討し, 誤差等が少い組織学的測定法を採用するほうが良いと考えている。潰瘍治癒機作については, 実験成績から, 幅と深さの治癒機作には差があるように考えられ, 特に潰瘍底肉芽組織内の物質の輸送および拡散について検討した。
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